印稿作成
印稿とは、印章を彫る前の下書きのことを言います。何冊もの辞書を参考に、全ての文字がバランス良く配置されるようにデザインします。この印稿作成は、印章を作る上で最も大切な作業です。
字入れ
印稿を元に、印材へ筆で文字を書いていきます。印章は捺印した時に正字になるので、逆字に書きます。間違えないよう、鏡に映し確認しながら作業を進めます。納得の行く字入れが出来るまで、髪の毛一本分の精度で調整を繰り返します。
荒彫り
字入れが終わったら、いよいよ彫刻作業に入ります。
荒彫りは、文字の輪郭を彫る作業をいいます。文字以外の部分が同じ深さになるように彫り下げていきます。文字を傷つけないように慎重に彫ります。
仕上げ
最後の工程、仕上げ作業。
先ずは、荒彫り後の印面をトクサ(ヤスリ)で研磨します。この作業は字入れで盛り上がった墨、朱墨を落とし、荒彫りで出来たササクレを取る為に行います。
改めて墨を打ち、仕上げ作業の準備が完了します。
仕上げ作業は専用の印刀を使って、枠、線の太さ、交差部分を整えます。捺印、確認、仕上げ、
を繰り返し印稿を忠実に再現していきます。
印章が出来上がるまでには、いくつもの工程があります。主な工程として、印稿、字入れ、荒彫り、仕上げをご紹介しました。この他にも細かい作業がいくつもあります。
印章作成作業は道具の進歩や職人の工夫によって多少の変化はありますが、江戸時代より変わらない職人による手作業によって行われます。東京手彫り印章は、伝統を守り、継承していきます。